珍しい花がいかにして南部地域を一年中蜜源の地に変えたのか

毎年夏になると、アシール高原の山々が香り高い花々で満開となり、地元の養蜂家たちはサウジアラビアで最も人気のある蜂蜜の収穫を始める。それぞれの蜂蜜は、希少な在来植物と、束の間の開花期に結びついている。この地域を際立たせているのは、植物の多様性だ。環境・水資源・農業省によると、アシールはサウジアラビア全体の蜂蜜生産量の20%を占め、5,000人以上の養蜂家が活動している。5,400万サウジアラビア・リヤル(1,440万ドル)の政府支援を受け、養蜂業はアシールのエコツーリズムと農業経済の基盤となっている。

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この繁栄する蜂蜜産業の根底には、シンプルな方程式がある。花と旬が味を左右するのだ。研究者のイブラヒム・アル=アリフィ博士は著書『ハニー・アトラス』の中で、斜面から採取される濃厚な白いマジュラ蜂蜜から、谷底のアカシアの木から採れる黄金色のカタド蜂蜜まで、この地域の主要な蜂蜜の品種を記録している。それぞれの蜂蜜が、土壌、標高、そしてそれぞれの生き方を物語っている。

マジュラ蜂蜜は、晩夏にテウクリウム・ポリウム(Teucrium polium)の花から採取され、サウジアラビアで最も希少な蜂蜜の一つである。結晶化が早く、淡い色で、強い甘さが特徴だ。これらの特徴は、この植物の開花周期が短く、気候に敏感であることに由来している。テウクリウム・ポリウムはアシール高地でのみ生育している。

カタッドハニーは、6月から8月にかけてアカシア・ハムロサの花から採取され、黄金色の輝きと適度な密度で知られている。この乾燥に強い棘のある植物は、この地域の渓谷でよく育ち、免疫力と活力を高めるとされるハチミツを生み出す。

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初秋になると、アシールのもう一つの定番品が登場する。サラーム蜂蜜は濃い赤色で、岩だらけの乾燥した環境に生えるアカシア・エーレンベルギアナの黄金色の花をミツバチが食べてできたものだ。

サウジアラビア全土で広く知られる有名なシドル蜂蜜は、8月から10月にかけて採取される。その原料となるシドルの木は、ティハマ、リジャル・アルマー、サラト・アビダの谷や平野に自生している。濃い黄金色で栄養価が高く、薬効もあるシドル蜂蜜は、その供給量と高品質から、サウジアラビア市場で最も高価な蜂蜜の一つとなっている。

さらに西へ、谷間の小川沿いでは、鮮やかな黄色のセヤルの木が咲き、スパイシーな香りと濃い琥珀色で知られる秋の蜂蜜を生み出す。アル・サマールのように冬に花を咲かせる木でさえ、アシールの温暖な地域では早くから開花し始める。そのため、濃厚で赤みがかった、深く土っぽい風味の蜂蜜を早く収穫することができる。

開花、採集、そして風味という安定したサイクルのおかげで、アシールは一年を通して手作りの蜂蜜を生産している。山から谷まで、それぞれの花はミツバチだけでなく、家族や農家を支え、そして自然を基盤とした産業の拠点としてのこの地域の評判を高めている。希少なオーガニック蜂蜜の需要が高まる中、アシールの深い知識と気候に強い作物は、一輪ずつ花を咲かせながら、王国の養蜂の未来を確かなものにするのに役立っている。

出典:ARAB NEWS
写真:©SPA

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