アブダビ農業食品安全局(ADAFSA)は、地元UAE産ミツバチの女王蜂を提供することでUAEの養蜂家を支援するという公約を再確認した。この取り組みは、シドル、サマール、ガフなどの地場の高級蜂蜜品の生産を増やすと同時に、国の養蜂業界の持続可能性を確保することを目的としている。この発表は、5月20日の毎年恒例の世界ミツバチの日のお祝いに合わせて行われた。
昨年3月、ADAFSAは、アラブ首長国連邦産ミツバチの9代目の女王蜂から2,693匹の女王蜂を誕生させることに成功、これらの取り組みは、アラブ首長国連邦産ミツバチの種を開発し、高品質な蜂蜜を生産し、輸入蜂群への依存を減らすという当局の継続的な取り組みの一環である。ADAFSAは地元の養蜂家に第9世代の女王蜂2,283匹を提供し、現在も繁殖活動を継続している。
目標は、春の繁殖期(2024年3月から5月中旬)に3,000匹の女王蜂を生産し、秋の繁殖期(2024年10月から11月中旬)にさらに2,300匹の女王蜂を生産することだ。これにより、アラブ首長国連邦の第9世代の女王蜂から合計5,300匹の女王蜂が生産されることになる。
当局は、2016年から2023年にかけて8世代にわたるアラブ首長国連邦産ミツバチの女王蜂が計13,217匹生産され、そのうち10,703匹が全国の養蜂家に配布されたと明らかにした。
ADAFSAは、地元の蜂蜜を世界的に宣伝するために、2024年1月26日から2月8日までアブダビでアル・ワスバ蜂蜜フェスティバルを開催した。シェイク・マンスール・ビン・ザーイド農業優秀賞と併せて開催されたこのフェスティバルには、蜂蜜生産に携わる60人の養蜂家と企業が参加、さまざまな蜂蜜コンテストや参加者への賞品が用意された。
このイベントでは養蜂と蜂蜜生産に関する科学的なワークショップやセミナーを開催、地元のプロポリスの品質と重要性、アラブ首長国連邦ミツバチの女王蜂の飼育におけるベストプラクティスなどのセミナーや養蜂家との対話型セッションによる養蜂分野の課題と潜在的な解決策などのワークショップが開催された。
ADAFSAは重要な一歩として、「UAE におけるミツバチと養蜂」と題する科学書を出版した。これは野生および管理されたミツバチ種を含む、国内外のミツバチ、養蜂のあらゆる側面に焦点を当てたUAE初の出版物である。
この本では自然界の顕花植物や農作物の受粉者として、ミツバチの重要な役割に焦点を当てている。幅広い読者層にアピールするように書かれたこの本は、ミツバチの多様性、重要性、保護に関する一般知識と、UAEにおけるミツバチ (Apis mellifera) 特有の課題に関する詳細な洞察が書かれている。持続可能な養蜂の実践、暑く乾燥した環境での巣箱の管理、主要な害虫や病気の特定と対処などのトピックが含まれ、特にUAEでよく見られる野生の小型ミツバチ (Apis florea) に注目している。
ADAFSAはまた、子供たちに蜂蜜の作り方や、ミツバチや蜂の巣に関連する用語を教えることを目的として、養蜂と蜂蜜生産に関する子供向けの特別な小冊子も作成した。
今年、当局は主にミツバチを餌とし、ミツバチの個体数に対する最も重大な脅威の一つとなっているハチクイに関するパンフレットを発行し、ミツバチへ影響を与えるハチクイに対しての、最も効果的な予防法について説明した。ハチクイは、狩猟や殺害が法律で禁止されている渡り鳥の一種である。
ADAFSAが現在進めているプロジェクトには、国内のミツバチのコロニーに影響を及ぼす害虫や病気を監視するプロジェクトが含まれている。また当局は、ミツバチの個体群を保護し、UAEにおける養蜂の持続可能性を確保するための管理プログラムの開発も目指している。これらのプロジェクトの結果は、2025年第1四半期までに明らかになると予想される。
出典:WAM