小規模農家に技術と市場アクセスの力を与える新たな計画

オリバー・シムワ氏は、COVID-19パンデミック後の酪農に参入した。国際畜産研究所（ILRI）の専門家の指導を受け、明確なロードマップを持って農業分野への転身を果たした。「酪農を始める前に、まず飼料の安定供給を確保し、次に必要な施設を建設し、人を雇い、そして最後に家畜を導入するという順番で進めるべきだとアドバイスされました」とシムワさんは振り返る。

飼料の種子も提供され、6ヶ月後にはプロジェクトを開始することができた。現在、シムワさんは3頭の乳牛を飼育しており、良い日には最大66リットルの牛乳を生産している。しかし、小規模農家にとって良質な種子の入手が依然として大きな障害となっていると彼は指摘する。「適切な品種を手に入れるにはお金がかかります」と彼は言う。「遺伝子の優れた、より生産性の高い動物は、15万シリングから30万シリングもかかります。多くの農家にはそれだけのお金がありません。金融機関がもっと支援してくれれば、状況は大きく変わるでしょう。」シムワ氏の経験は、国際農業研究協議グループ（CGIAR）ネットワークが立ち上げた新しい国際的取り組みにより広範な目標を反映している。

ワールドフィッシュの水生食品生物科学部長であり、持続可能な動物と水生食品システム（SAAF）プログラムの暫定ディレクターであるロドリゴ・ヨッサ氏は、この取り組みはアフリカ、アジア、太平洋、南米の170万人の生活を向上させることを目的としていると言う。「このプログラムは、栄養価の高い動物性食品や水産食品の生産・流通システムを変革することで、それらへのアクセスを増やすことを目指しています」とヨッサ氏は説明する。SAAFはCGIARの2025～2030年戦略ポートフォリオの一部であり、ケニア、ナイジェリア、ザンビア、マレーシア、バングラデシュ、ラオス、カンボジアを含む 17 か国における動物および水産食品システムの生産性と回復力の向上に重点を置いている。

ILRIの農業経済学者、ジェームズ・ラオ博士は、市場、政策、イノベーションの拡大に焦点を当てた取り組みの一部を主導している。「私たちの目標は、農家が新しい技術を導入し、水生動物の食品市場にもっと効果的に参加できるようにする市場システムの革新を共同で設計、展開、評価することです」とラオ氏は述べた。同氏は さらに、このプログラムは技術の枠を超えて、小規模畜産農家に力を与える行動面や制度面の変化を探求しているとも付け加えた。「私たちはまた、十分なサービスを受けられないことが多いこれらの農家が、市場で繁栄するための環境をより良くする政策的解決策も検討しています」と彼は述べた。より多くの農家にアプローチするためには、パートナーシップと統合された提供モデルが重要だとラオ氏は述べた。「私たちは市場関係者と協力して、関係者全員に価値を生み出すビジネスモデルを開発しています」と彼は語った。

「農家にあらかじめパッケージ化されたソリューションを提供するのではなく、持続可能性と影響を確保するために、農家やバリューチェーンの関係者と協力してソリューションを共同で作り出すのです。」

出典：The STAR
写真：©The STAR