アフリカで日本のサブカル文化が拡大している。
ここ10年ほどで、アフリカ各地でアニメコンベンションやサブカル祭りが開催され、南アフリカ、ケニア、ナイジェリア、ザンビア、ジンバブエなどの国々が牽引して市場を拡大させている。世界市場規模はコスプレ衣装だけでも2022年に約50億USドル、2032年には約90億USドルにまで達すると予測されており、日本、米国、ヨーロッパが主体ではあるものの、アフリカでも急速にオタク文化が受け入れられ拡大している。
アフリカの平均年齢はなんと約19歳、日本よりも約30歳も若い。流行に敏感であり、自分を表現したい時期であり、日本のアニメが放映され、影響をまともに受けている世代である。特に日本のアニメはストーリー性が高く、キャラクターも確立され、繊細な感情表現が伴うため、多くのアフリカの若者に感情移入をしてもらえているようである。
その若者たちの間で日本のサブカルは、文化交流と創造性のプラットフォームになっている。そしてサブカルファンはアニメへの愛と自分たちの伝統を融合させユニークなコスプレ、アート、スタイルを生み出している。ここに日本のソフトパワーが強い影響を与えているのである。
日本からアフリカは物理的に遠く、なかなか身近に感じる機会が少ない状況ではあるものの、アフリカでのオタク文化の拡大は、日本人には親近感を沸かせる事象ではないだろうか。2100年にはアフリカの人口が40億人で、世界の40%を占める地域となる。世界の先進国において、アフリカがビジネスでも環境・食糧問題でも多大な影響を受けるレベルの巨大地域になるのは目前となっている。
中国は10年も20年も前からしたたかにアフリカに活路を見出し、人・もの・金を積極的に投資してアフリカへの影響力を強め、ケニアでは学校教育に中国語が標準的に導入されるまでに浸透している状況だ。アフリカの巨大市場で影響力を持つために、反応の良し悪しはあるものの、中国は先を見越した動きをしているのは間違いない。
日本はこの数10年の低迷ですっかり弱体化した気になっているが、ソフトパワーは絶大である。この10年でインバウンドは巨大化し、観光立国化を果たしつつあるものの、副作用の影響でいずれ限界を迎えるはずである。対して海の向こうに影響を与えたソフトパワーは、まだまだ発展途上である。
この影響力を活用して、日本はもっとアフリカ諸国と接触し、文化・教育・ビジネスの面で協調していくべきではないだろうか。いずれ日本そして先進国の国力が衰退したときのために。
Photo ©Noelle Adams
アフリカでオタク文化の拡大

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