アフリカ経済の原動力、M-PESAモバイル決済サービス
2024年5月4日、アフリカケニアではM-PESAというモバイル決済サービス(サファリコムケニア)によるアフリカ経済を引率する企業が日本で話題となっている。
ケニアを代表する通信企業のサファリコムと南アフリカのボーダコムの両社が設立した合弁企業、アフリカ最大のモバイル決済プラットフォームM-Pesa(エムペサ)、英国のボーダフォン傘下にあった。銀行口座を持たないアフリカの人々に送金や公共料金の支払い、2007年にサファリコムが立ち上げたM-Pesaは、ケニアから始まり東アフリカ全体を制覇した後、西アフリカやエジプトにも進出、利用者は約4000万人に達している。ボーダコムによると、M-Pesaの決済処理件数は月間10億件を突破している。
PESAとはスワヒリ語で「マネー」と言う意味で、M-PESAで「モバイルマネー」という意味になる。
日本とアフリカと大きく違うのは、98%がプリペイド携帯で、端末を購入し通話料をチャージしてから使い、チャージした通話料を他人に送るための送金システムがあり、さらに送金されたお金は、M-PESAショップ等で現金で引き出すことが可能で、この「引き出せる」というところが、新たなイノベーションとなって超加速経済のアフリカを発展させている。
日本はキャッシュレスというPayPayやSuicaなどが普及しているが、これらは一度チャージしてしまうと使い切らねばならず、現金に戻すことができない。資金決済法というルールにより現金化ができなくなっている。それにくらべケニアは、ハンバーガーショップ・コンビニ・ガソリンスタンドなどあらゆるところでM-PESAを決済サービスとして使っている。
チャージしただけでは金額は変わらないが、M-PESAには銀行アプリもついていて、お金を移すことで貯金することができる。一定の条件を満たせば、少額のローンを組むことも可能なのだ。この送金・決済そして貯金・ローン。つまり銀行のリテールサービスがスマホでできてしまうのである。ケニアのGDPは、約10兆円、1年間のケニアの全銀行トランザクションの倍の金額が、M-PESAによってやりとりされている。サファリコムは銀行口座を持たないアフリカの人々に送金や公共料金の支払いだけでなく、トレードなどの金融サービスへの投資の機会も与えていく他、スモールビジネスの拡大も支援していくと述べている。
【編集 安麻比呂】